「水ロケット野球盤」という刺激的、宇宙的に楽しめるゲームの遊び方
スマホ、タブレット、パソコン、テレビ……と、オンオフ液晶画面を眺め続ける毎日。
そんな日々に喝を入れるかのように刺激的なゲームを先日経験できました。その名も「水ロケット野球盤」。TELSTARという学生時代に所属していた宇宙広報団体のイベントでレクリエーションとして行われました。
競技のさらなる発展を強く祈念し、ここにその記録と記憶を気楽に記します。
■水ロケットはなぜ飛ぶのか
そもそも水ロケットとは、ペットボトルロケットとも言われるように、身近にあるペットボトルを使って作ることのできるお手軽ロケットです。TELSTAR12号でも一度取り上げています。
※水ロケット打ち上げ動画(JAXA特別公開イベントにて撮影)
※なぜかPCでしか見れないようです……
そしてポイントなのは、お手軽ロケットとは言うものの、水ロケットが飛ぶ原理は宇宙まで飛ぶ本物のロケットと同じということ。
小学校か中学校で習った記憶がある、作用・反作用の法則を利用して飛びます。スケボーに乗ったイケイケな感じのお兄さんが調子に乗って友達を手で押したら自分もバックしてしまってこけてカッコ悪いことになるアレ(※)です。
※イメージ画像(エジプト壁画より分かりにくい……)
スケボーの例でも、強く押したらその分後ろに下がる勢いが強くなって危ないように、本物のロケットも高温・高圧のガスを勢い良く噴射することで宇宙まで飛ぶほどの力が働くのです。
そして、水ロケットの場合はペットボトルに水を入れ、ペットボトルの中の空気圧を高めることで、空気が外に出よう出ようとすることに合わせて水を押し出し、それが飛ぶ力に変わっています。
※ちなみに冒頭で気楽に……と述べましたが、水ロケットはペットボトルを本来の目的外の使用しているため、事故が起こると完全に自己責任になるため(PL法外)、遊ぶ際は最大限の注意が必要です。最後に注意事項を記載しておりますので、遊ぶ際は必ずご確認ください
■水ロケット野球盤の基本ルール
前置きがかなり長くなってしまいましたが、水ロケット野球盤の基本ルールをご説明します。
【概要】
名前から想像できる通りなのですが、水ロケット発射台を打席、水ロケットをボールに見立てて、着陸した場所によって一塁打、二塁打、三塁打、ホームラン、アウトを決めて仮想野球をするというゲームです。
【攻守交代】
3アウトになる、もしくは定めた本数打ち上げたら、次のチームに攻撃が交代となります。
※この日は時間の都合上6本打ち上げたら交代でした。
【回数】
時間の都合上当日は2回制(全チーム2回攻撃のチャンスがある)でした。
もちろん2回制でも十分楽しめましたが、時間に余裕がありそうならば、5回制くらいがちょうどよく楽しめそうだなーと終わってみて思いました。
【判定】
肝心のヒット・アウト判定はおもちゃの「野球盤」と同様に、予めフィールドを分割して決めておきます。今回は東京ドームを借りるというような大胆な予算はさすがに使えず、フットサルコートを借りて行われ、実際には下図のような分割でした。
ホームランはフィールドに5箇所置かれた赤い三角コーンに直撃という、狙うならば超精密な打ち上げ計画が要求されるルール……。
※実際の判定マップ
【水ロケットの調整幅】
水ロケットのコントロールで重要なのはいくつか要素がありますが、まず方向調整について、左右の向きは自由に変えられました
飛距離調整のポイントとして、角度は仕様上一律45度固定でした。
また、借り物の箱でやる以上、飛びすぎは他の方の迷惑になる・最悪事故につながるのでNG。ということで、水の量は50mlまで、内気圧は5気圧までという上限がこの日はありました。
※内気圧の上限はペットボトルが破裂しないようにという点でも重要です
【備考】
・水ロケットが5本ほどすでに用意されていました
・当日は4チーム(1チーム6人)で最終的な点数を競い合いました
■水ロケット野球盤の流れ(当日)
さて、基本ルールを一通りご説明させていただいたところで、当日どのような流れで試合が行われたか、ざっくりまとめました。ここが大事!というところがいくつかありますので、競技をされる際はぜひご参考にされてください。
1.始射式
試合開始の合図に景気良く一発打ち上げだ~!という側面ももちろんありますが、実は始射式には重要な意味があります。
始射式で打ち上げられるロケットは50mlの水にない気圧は5気圧と上限いっぱいで打ち上げられます。つまり、試射式のロケットが各チームにとって水の量と気圧の調整値を考える参考になるのです。
2.攻撃1回目
各チームがそれぞれ基本ルールに則り6回打ち上げチャンスがあり、一塁打、二塁打がぽこぽこと出ていました。
が、全チーム0点という結果に終わりました……。予想以上にロケットが飛ばず、風にも悩まされ、狙ったところに落とせているチームはありませんでした。
3.想定外のルール変更
1回目の攻撃で全チーム0点という想定外の事態を見かねた審判よりルール変更のお達しがあり、以下2点が変更となりました。
i.判定マップの変更
向かい風により全チームが3塁打まで 届かないということで、以下のように変更となりました。三塁打が射場に近づきました。
ⅱ.予告宣言ホームランルール
1チーム1回のみ、この枠に入れると宣言した場所をホームランゾーンにすることができるというルールです。赤いコーンに当てる以外にもホームランを狙えるようになりました。
※ただ、攻撃の1発目のみというルールだったためソロホームランに限るといった形でした。とてもおもしろい試みだったので、次やるときは6回の攻撃中何処かでやりたい
4.攻撃2回目
三塁打を近づけたことで、1チームだけひたすら三塁打を連発するという三塁打無双が始まりました。全チーム段々と水ロケットのコツを掴み始め、うまく狙ったところに飛ばせるようになっていました。
5.表彰式
結果、なんと自分の所属していたチームが優勝しました(笑)。第2回の攻撃で二塁打、二塁打、二塁打、ホームラン(赤いコーン)、二塁打、二塁打と、まさかのホームランが出たことが決定打となり、賞状までもらってしまいました。
チーム内の現役大学生の女の子が50mlぴったりを一発ですくえるという謎の特技を取得し、勝利を導いてくれました。
■水ロケット野球盤の刺激的ポイント
水ロケット野球盤はちょっとかっこよく言えば、PDCAを回すことでどんどんおもしろくなる刺激的なゲームだな、なんて。
子供はもちろん、ぜひ大人にもおすすめの知育(?)ゲームです。
たとえば、今回の水ロケット野球盤の流れで言えば、PDCAを回すにあたって以下5ポイントが重要な要素だったかな~と。
・良い機体を見極めるべし
機体が用意されている場合、パチンコ台の釘を見るように、先端のノズル部分は形が崩れていないか、羽はきちんとついているか……などなど、飛ぶ機体と飛ばない機体をしっかりと見極めて射場に向かう必要がありました。
・水の量を極めるべし
当日は向かい風もあり、全部50mlで自分のチームは入れたのであまり関係ありませんでしたが、ロケットが飛ぶ距離に大きく影響します。
・内気圧調整を極めるべし
水の量と同じく、内気圧もロケットが飛ぶ距離に大きく影響します。
・風を読むべし
当日一番苦労させられたのが風でした。向かい風に加え、左から右に風が吹いてきており、ロケットの向きは必ず狙う場所よりも左に向かって打つようにしていました。ペットボトルに水が入っているだけなので、風の影響をとても強く受けるのです。
・発射ボタンの押し方を極めるべし?
これは重要なのかなんとも言い難いのですが、発射装置によってはスイッチの押し方によっては勢い良くロケットが飛び出さないことがあり、ガシッとスイッチを押すことがロケットを飛ばすコツという噂が……。
■水ロケット野球盤第2回があるならば
かなりハマってしまった水ロケット野球盤ですが、もし第2回をやるなら機体作りから入念に仕込んで臨みたいなと。なんなら準備期間も設けるとか……。
水ロケットは今回条件として上がっていた水の量や内気圧以外にもたくさんの工夫ポイントがあります。ノズルの形、ノズルの重さ、羽の位置、羽の形などなど。
宇宙兄弟を読んだことがある方なら想像しやすいかもしれません、宇宙飛行士訓練でのキャンサット作成で六太が見せた技術者魂。あのように機体作りから本気で取り組んで水ロケット野球盤をやりたいのです。
■水ロケットを扱う際の注意事項
競技の発展を祈りつつも、本文中でも何度か記載させていただきましたが、水ロケットは危険が伴うため、守るべきことはしっかりと守って遊んでください。
水ロケットの作り方や詳細の守るべき事項は日本宇宙少年団の公表している「基本型水ロケット」に記載されていますが、最低限以下のことはお守りください。
・周りに人のいない広いところで遊ぶこと
・打ち上げるときは絶対に人に向けないこと
・空気圧を入れ始めたらロケットの前にいかないこと
・真上に打ち上げないこと
・空気圧は必ず上限5気圧まで(破裂する危険があります)
・ペットボトルは損傷のない炭酸飲料用ものを使用すること
以上、必ず厳守をお願い致します!
■最後に
もしこの記事を読んで、野球盤まではいかなくとも、水ロケットを遊んでみたい!と思われた方はぜひこちら水ロケット製作キットの購入をご検討くださいませ。きちんと作ることができれば、100mばんばん飛ばせます。
※アフィリエイト申請したところ、ブログの記事本数的な部分があり拒否されてしましました泣
あと、完全に宣伝ですが、2017年2月19日、主にTELSTARのOBOGで宙畑という「宇宙×ビジネス」をメインコンテンツとしたメディアを立ち上げました。宇宙ビジネスに興味があるという方、宇宙ビジネスに興味があるという方はぜひお見知りおきくださいませ。
以上、長々とお付き合い頂きありがとうございました!
水ロケット野球盤の普及度合いを測るため、「水ロケット野球盤」というKWのGoogle検索結果の魚拓を最後に添付しております。
※2017年3月4日22:18時点のGoogle検索結果